今日は、ストレッチの正しい方法と間違った方法についてお話しします。
「柔軟性」は優れた運動の習慣を作るための重要な要素のひとつです。しかし、運動をしている人の多くはストレッチに関して大きな誤解をしています。
「どのようにストレッチすればいいのか?」「いつストレッチすればいいのか?」「どのぐらいの時間ストレッチをすればいいのか?」は、ストレッチに関してもっともよく聞く質問です。
実際、ストレッチの正しい方法がわからなく、なんとなくストレッチをしているだけの人も多いです。以前の僕もその一人でした。
今はどうかわかりませんが、僕が学生のころは、体育の授業でも部活でもストレッチに関してきちんと教えてくれることはありませんでした。
ただ単に授業や練習が始まる前にみんなで一緒にストレッチをするだけで、ストレッチの重要性や意味について教えてもらったことは一度もなかったのです。
しかし、ストレッチを正しく理解することは非常に重要です。なぜなら、ストレッチはケガや故障、またトレーニングのパフォーマンスに大きく関わるものだからです。
なぜストレッチをする必要があるのか?
1. ストレッチは身体の「自由に動く能力」を最大限に高める
硬い軟組織は関節の動きを制限し、重要な腱が効果的に働くのを妨害する可能性があります。ストレッチによって軟組織をやわらかくすることで、身体は最高の状態で機能することができるようになります。
2. ストレッチはケガを防ぐのに役立つ
筋肉が緊張した状態で運動すると、重傷を負ったり筋肉が裂けたりする恐れがあります。ストレッチによって筋肉を適度に弛緩させることで、そういった事態を防ぐことができます。
これらの2つの理由から、決して運動前後のストレッチを怠ってはいけません。
どのくらいの時間ストレッチすればいいのか?
どのストレッチを何秒間(もしくは何分間)行えばいい、というものはありません。多くの運動の専門家、トレーナー、コーチがそれぞれ違うことを言っていて混乱するかもしれませんが、結局は
「あらゆる人、あらゆる状況に最適な運動」というものが存在しないのと同じように、「あらゆる人、あらゆる状況に最適なストレッチ」というものも存在しない。
柔軟性は運動の一要素であり、またそれぞれの人に最適な運動は違うのだから、ストレッチもまた自分の身体に最適なものを自分で決定しなければならない。
というのが結論です。
ただ、それだけ言われても結局どんなストレッチをすればいいのかわからないと思うので、次に「正しいストレッチ」と「間違ったストレッチ」についてお話しします。
あなたの身体に最適なストレッチを見つけるためのヒントになるはずです。
「正しいストレッチ」と「間違ったストレッチ」
運動前の正しいストレッチ
- 運動する前に時間をかけて「動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)」をしてください。
- 動的ストレッチは、ゆるやかな動きによって身体の動きの幅(可動範囲)を広げます。
- 動的ストレッチは、運動前に軟組織への血流と酸素の流れを改善し、また筋肉のなかの受容体が機能するように準備します。
- 腕振り、脚振り、ゆるやかな屈曲などで、身体をなめらかに動かしてください。
運動前の間違ったストレッチ
- 膝や腰に衝撃を与える動き(ジャンプなど)や筋肉を無理やり動かすような動き、反動を使ったストレッチは、ケガの危険性を高めます。
- こういった「弾道ストレッチ」はあなたの筋肉を(過度な範囲に)無理やり動かすだけで、リスクに見返りがまったく見合っていません。
運動後の正しいストレッチ
- 運動後、少なくとも10分以上かけて、約30秒間保持したままの「静的ストレッチ」で硬い筋肉をほぐします。
-
わずかに不快感を感じるところまで身体を伸ばしてから、少し戻して姿勢を保持します。このタイプのストレッチは身体の全体的な柔軟性を向上させ、運動後の筋肉痛を軽減するのにも役立ちます。
運動後の間違ったストレッチ
- 大きな痛みや不快感を感じるような「過度なストレッチ」は行わないでください。身体を傷つける危険性があります。柔軟性が高すぎるのも身体には良くありません。
- 関節は「筋肉の緊張」によって正しい位置に維持されるので、身体を過度に伸ばすと関節や腱に問題が生じる可能性が高くなります。
自分自身の「完璧な柔軟性のバランス」を見つける
身体のバランスを見つけるためにはスキルが必要です。そしてそれを行う唯一の方法は「自分の動きを意識すること」です。
運動しているあいだは、常に意識を働かせてください。自分の身体の声に耳を傾けると、より早く成果を上げ、またケガを防ぐこともできます。
運動に関する最大のアドバイスは「あなたの身体の声に耳を傾けること」です。痛みや不快感を感じたら、すぐにやめてください。
それと、時間がないからといって、ストレッチを抜かしたり急いで終わらせたりすることもやめてください。
あなたの身体はまさに「あなたの」ものです。正しくケアすることに責任を持ち、決して思考停止になって他人のコピーをしてはいけません。そうする代わりに、自分で自分を教育し、自分にとって何が有効かを見つける努力をしてください。